目次

4. OpenMOMの使用法

4.1 GUIプログラム

OpenSTFはGUI(Graphical User Interface)プログラムを使用して、 ウィンドウ上でデータ入力、計算、図形出力を行います。

4.1.1 Windowsの実行環境

Windowsの実行環境は以下のようになります。

(1) .NET Framework
GUIプログラムの実行には .NET Framework が必要です。 Windows11には標準装備されています。 .NET Framework がインストールされていないかバージョンが古いときは、 下記からダウンロードしてインストールしてください。
https://dotnet.microsoft.com/ja-jp/download/dotnet-framework

(2) OpenMP
OpenMP対応の実行プログラムを実行するための準備は特に必要ありません。
ただし、実行プログラムのあるフォルダにランタイムライブラリvcomp140.dllが必要です。 (配布ファイルに含まれています。 ファイル名の"140"はVC++のバージョンを表し、今後変わる可能性があります。)

4.1.2 GUIプログラムの起動

GUIプログラムを起動するにはOpenMOM.exeファイルをダブルクリックしてください。
図4-1-1にOpenMOMのGUIプログラムを示します。
図4-1-2にOpenMOMの処理の流れを示します。 図中の緑色がGUI画面での操作、黄色がコマンドボタン、 無色が出力されるファイルを表します。


図4-1-1 OpenMOMのGUIプログラム


図4-1-2 OpenMOMの処理の流れ

4.1.3 GUIプログラムの使用法

以下の手順で操作してください。

  1. [全般]タブと[物体形状]タブのデータを入力します。 詳しくは4.1.4と4.1.5を参考にしてください。(注1)
  2. [計算]ボタンをクリックします。ウィンドウが開いて計算が開始されます。 詳しくは4.1.6を参考にしてください。(注2)
  3. [ポスト処理制御(1)][ポスト処理制御(2)]タブでポスト処理の設定を行います。 詳しくは4.1.7を参考にしてください。
  4. [ポスト処理]ボタンをクリックします。 図形データファイルev.ev2とev.ev3が出力されます。
  5. [図形表示2D]ボタンをクリックします。ev2d.exeが起動してev.ev2が図形表示されます。 詳しくは4.2を参考にしてください。
  6. [図形表示3D]ボタンをクリックします。ev3d_otk.exeが起動してev.ev3が図形表示されます。 詳しくは4.2を参考にしてください。
  7. ポスト処理は[ポスト処理制御(1)][ポスト処理制御(2)]タブの設定を変えて [ポスト処理]→[図形表示2D]または[図形表示3D]を繰り返し行うことができます。

(注1)
作業中にときどき安全のために[ファイル]→[上書き保存]または[名前を付けて保存]でファイルを保存してください。
(注2)
このウィンドウの属性は左上のアイコンをクリックして[プロパティ]メニューで変更することができます。 特に[オプション]タブの[簡易編集モード]はOFFにしてください。 これを行わないと計算中にウィンドウ内をクリックすると表示が停止します。 その他、ウィンドウサイズ、色、フォントなどを変更することができます。
(注3) EEM-MOM
[ファイル]>[開く]で[ファイル名]のフィルターに"EEM-MOM"を選択すると、 EEM-MOMのデータ(拡張子.mom)を開くことができます。 ただし、分割数の仕様が変わっているためにOpenMOMで適当に修正の上、計算してください。

4.1.4 全般タブ

[全般]タブでは物体形状以外のデータを入力します。(図4-1-1)

(注1)
日本語を含む入力データファイルの文字コードはUTF-8(BOMなし)です。
ただし、タイトルに日本語が含まれると計算時のコンソールのタイトル行が文字化けしますが、 omm.logと図形表示には日本語が正しく表示されます。 (コンソールはShift-JISのみをサポートするため)
Version 3.Xまでの日本語を含む入力データファイルの文字コードはShift-JISです。 メモ帳等で読み込んでUTF-8(BOMなし)で保存したのち使用するか、 [全般]タブで再度日本語で入力してください。
(注2)
給電点と平面波入射はどちらか一方が有効です。

4.1.5 物体形状タブ

[物体形状]タブでは物体の形状データを入力します。(図4-1-3)
左でデータを入力し、右の図でデータを確認してください。
右の図の扱い方は[ヘルプ]ボタンを参考にしてください。


図4-1-3 物体形状タブ

[ユニット番号] 左は形状単位(ユニット)ごとにページが変わる方式になっています。
現在のユニット番号が左上に表示され、これが編集の対象になります。

ユニット番号を変更する方法は以下の通りです。

ユニットの編集には以下のボタンを使用します。

[形状種類]
[形状種類]の選択によって入力するデータが変わるので、 最初にここを指定してください。
形状種類ごとに必要な座標データと分割数については図4-1-4、図4-1-5を参考にしてください。
各ユニットには、[給電点]、[負荷]、[導線半径]、[平行移動]を指定することができます。 これらはすべてオプションです。
[名前]は計算には使用しませんがデータ入力時の参考にしてください。


図4-1-4 線状ユニットの座標と分割数


図4-1-5 面状ユニットの座標と分割数

4.1.6 計算

[全般]タブから[物体形状]タブまでのデータを入力した後、 [計算]ボタンをクリックすると計算が開始されます。 ウィンドウが開き、リスト4-1-1のように表示されます。 ここで入力データと計算結果を確認してください。

リスト4-1-1 標準出力


<<< OpenMOM Ver.4.0.0 >>>
No. of threads     = 8 (AVX) (single)	スレッド数 (SIMD) (単精度)
Sun Nov 19 16:56:48 2023	開始時刻
Title = dipole antenna		タイトル
No. of geometries  = 1		幾何形状の数
No. of elements    = 25		線状要素の数
No. of feeds       = 1		給電点の数
No. of loads       = 0		負荷の数
No. of open ends   = 2		孤立端点の数
Ground             = NO		グラウンド板の有無
Plane wave         = NO		平面波入射の有無
Memory size [MB]   = 1		使用メモリー
No. of frequencies = 1		周波数の数
                (  1/1)		計算経過(現在の周波数番号/周波数の数)
=== input impedance (Z0=50.0[ohm]) ===	(給電線の特性インピーダンス)
  feed# = 1				給電点番号
  frequency[Hz] Rin[ohm]   Xin[ohm]    Gin[mS]    Bin[mS]    Ref[dB]       VSWR	入力インピーダンス他
  3.00000e+09    107.124     66.004      6.766     -4.169     -5.811      3.100
=== output files ===
omm.log, omm.out, element.log, current.log	出力されたファイル名
=== normal end ===
Sun Nov 19 16:56:48 2023	終了時刻
=== cpu time [sec] ===		以下、計算時間の内訳
part-1 :      0.004		前処理、ファイル入力、線状要素の作成等
part-2 :      0.001		インピーダンス行列作成
part-3 :      0.000		連立一次方程式求解
part-4 :      0.001		後処理、ファイル出力等
---------------------
total  :      0.006		合計

4.1.7 ポスト処理制御タブ

[ポスト処理制御(1)][ポスト処理制御(2]タブでは図形出力の項目とそのパラメーターを入力します。


図4-1-6 ポスト処理制御(1)タブ

[電流分布]
電流分布を2Dまたは3Dで出力します。

[整合損を含む]
ONにしたとき遠方界の利得に給電点の整合損を含めます。

[周波数特性(2D)]
それぞれの周波数特性を出力します。 [自動スケール]をOFFにしたときは[最小],[最大],[分割数]を入力してください。

[遠方界面上(2D)]
遠方界の面上パターン図を出力します。 複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
[面]:

[角度分割数]:360度を分割する数値を入力してください。
[角度]:[φ一定面]と[θ一定面]のときは角度[度]を入力してください。 それぞれ一定のφとθです。
[円プロット]、[XYプロット]:出力図の形式を選択してください。
[θ/φ成分]、[主軸/副軸]、[左右円偏波]:出力する成分を選択してください。(複数選択可)
[スケール]:単位とスケールを設定してください。
[最大値で正規化]:最大値で正規化するときONにしてください。

[遠方界全方向(3D)]
遠方界の全方向パターン図を出力します。
[角度分割数]:θ方向(0-180度)とφ方向(0-360度)の分割数を入力してください。
[成分]:出力する成分を選択してください。(複数選択可)
[スケール]:単位とスケールを設定してください。
[物体表示]:図形表示される物体形状の相対的な大きさを指定してください。


図4-1-7 ポスト処理制御(2)タブ

[近傍界線上(2D)]
近傍界の線上分布図を出力します。 複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
[成分]:表示する成分
(X1,X2):始点と終点のX座標
(Y1,Y2):始点と終点のY座標
(Z1,Z2):始点と終点のZ座標
[分割数]:線分の分割数
[スケール]:単位とスケールを設定してください。
[入射波を除く]:ONにすると平面波入射のとき入射波を除いた散乱電磁界のみを表示します。

[近傍界面上(2D+3D)]
近傍界の面上分布図を出力します。 複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
[成分]:表示する成分
[面]:X面/Y面/Z面から選択してください。
[面座標]:X面のときX座標、Y面のときY座標、Z面のときZ座標を入力してください。
[左],[右]:横軸座標の下限と上限を入力してください。横軸座標はX面のときY、Y面のときX、Z面のときXです。
[下],[上]:縦軸座標の下限と上限を入力してください。縦軸座標はX面のときZ、Y面のときZ、Z面のときYです。
[横分割数]:横軸の分割数
[縦分割数]:縦軸の分割数
[2D/3D]:2D/3Dの図形出力を選択してください。
[動画2D],[フレーム数]:動画を有効にしてフレーム数を指定します。
[スケール]:単位とスケールを設定してください。
[描画方法]:等高線図の描画方法を選択してください。
[物体を描く]:物体形状を重ね書きするかどうか選択してください。
[入射波を除く]:ONにすると平面波入射のとき入射波を除いた散乱電磁界のみを表示します。

4.1.8 計算設定メニュー

[ツール]>[計算設定]メニューをクリックすると図4-1-8の計算設定ウィンドウが開きます。
使い方については[ヘルプ]を参考にしてください。


図4-1-8 計算設定ウィンドウ

4.1.9 オプションメニュー

[ツール]>[オプション]メニューをクリックすると図4-1-9のオプションウィンドウが開きます。
使い方については[ヘルプ]を参考にしてください。
設定を初期化するには[初期化]をクリックしてください。


図4-1-9 オプションウィンドウ

4.1.10 数値出力メニュー

[数値出力]メニューをクリックすると、 それぞれの数値出力ファイルを読み込んでテキストエディタが開きます。
それぞれのファイルの意味は4.3を参考にしてください。