カールアンテナのアレーを考えます。([9] Chapter18)
最初にアンテナ単体を計算します。
図1にアンテナ形状を示します。無限に広いグラウンド板を考えています。
逆L部とスパイラル部から成ります。
スパイラル部の動径はr=aspφ (φst≤φ≤φend)で表されます。
図2からわかるように特定のアンテナ高hとスパイラル部の長さのとき円偏波を放射します。
以下では軸比が最小になるh=3.6mm,φend=26.12radとします。
この最適値は文献[9]の値(h=3.8mm,φend=26.3rad)と少しの差があります。
図3に電流分布を示します。
文献[9]のFigure18.3と同様に進行波が減衰し、これによって円偏波が放射されます。
図4に電界分布の動画を示します。電界が回転することが円偏波に対応しています。
図5に四つの垂直断面の放射パターンを示します。
文献[9]のFigure18.4に似ています。ほぼ+Z方向に円偏波を放射します。
図6に+Z方向の軸比の周波数特性を示します。文献[9]のFigure18.5に似ています。
図7に+Z方向の利得の周波数特性を示します。文献[9]のFigure18.6に似ています。
図1 アンテナ形状 (グラウンド板あり)
図2 アンテナ形状と軸比の関係 (11.85GHz, asp=0.18mm/rad, φst=6πrad)
図3 電流分布 (11.85GHz)
図4 電界分布の動画 (11.85GHz, Z=5mm面, playで再生, pauseで停止)
図5 放射パターン (11.85GHz)
図6 軸比の周波数特性 (11.2-12.6GHz, θ=0deg)
図7 利得の周波数特性 (11.2-12.6GHz, θ=0deg)
次に、図8は図1のアンテナを同心円状に多数並べたアレーアンテナです。
n周目に6n個のアンテナを並べます(n=1,2,3,..)。
従って全体でN周のときのアンテナの数は3N(N+1)個です。
カールアンテナの特長を生かして、
各アンテナを機械的に回転させると放射電界の位相を変えることができます。
ビームの中心を+Z方向から+X方向にθtilt傾けるには、
各素子の中心のX座標をxiとすると、
時計周りに360(xi/λ)sinθtilt[度]回転させます。
図9にチルト角=0,30度のときの放射パターンを示します。
左は文献[9]のFigure18.8に似ています。
利得はそれぞれ、31.3dB, 29.2dBです。
ビームを傾けると別の方向にサイドローブが現れます。
なお、ビーム中心における軸比はそれぞれ3.2dB, 0.3dBです。
前者はアレーによるアンテナ間の結合が軸比を大きくしていると考えられます。
図10にZ=10mm面の電界のZ成分の位相分布を示します。同じ色が等位相面を表します。
左は中心から同心円で広がるために+Z方向に放射し、
右は等位相面がX軸と垂直であるためにビームの中心がX方向に傾きます。
図8 アンテナ形状 (グラウンド板あり, N=7, 素子数168、図の使い方は4.4参照)
![]() (a) チルト角=0度 |
![]() (b) チルト角=30度 |
図9 放射パターン (11.85GHz, XZ面) | |
![]() (a) チルト角=0度 |
![]() (b) チルト角=30度 |
図10 電界分布 (Ez成分の位相, 11.85GHz, Z=10mm面) |
◆入力データ(右クリック+[保存])
CurlAntenna.omm,
CurlAntenna_Na168_0deg.omm,
CurlAntenna_Na168_30deg.omm
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CurlAntenna.c