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7.4 短絡無給電リング付きアンテナ

図1の3ケースのアンテナを考えます。 本アンテナは広帯域・低姿勢という特長をもっています。([9] Chapter7)
モデルaは円形パッチの一部にスロットを設け、 中央の円形パッチとグラウンド板を給電線で接続し、 外側の円形パッチの4箇所をグラウンド板とピンで接続しています。
パッチの外径は内側から順に6.7,10,40mm、パッチとグラウンド板の距離は10mmです。
スロットはリアクタンスを消し、ピンは抵抗を上げる効果があります[9]。
モデルbは給電線を広がりを持った回転対称体(Body of Revolution : BOR)に置き換えたものです。
モデルaとモデルbのグラウンド板は無限です。
モデルcはグラウンド板を有限の円板に置き換えたものです。


図1 アンテナ形状

図2~図4は各モデルのスミスチャートと入力インピーダンスです。
図5は各モデルのVSWRです。
図5よりアンテナbはBOR効果によって高周波で整合がとれ帯域幅が大幅に広がっています。
アンテナbとアンテナcのVSWR特性はほぼ同じです。


図2 アンテナaのスミスチャートと入力インピーダンス(1~15GHz, Z0=50Ω)


図3 アンテナbのスミスチャートと入力インピーダンス(1~15GHz, Z0=50Ω)


図4 アンテナcのスミスチャートと入力インピーダンス(1~15GHz, Z0=50Ω)


図5 各アンテナのVSWR(1~15GHz, Z0=50Ω)

図6と図7にアンテナbとアンテナcの放射パターンを示します。
形状の対称性から+Zにヌルができるコニカルビームになります。
周波数によってビーム中心のθが変動します。
図7のアンテナcではグラウンド板の大きさが有限であるために下半分にバックローブが現れます。


図6 アンテナbの放射パターン(YZ面)


図7 アンテナcの放射パターン(YZ面)

◆入力データ(右クリック+[保存])
SPR.omm, SPR_BOR.omm, SPR_BOR_GP.omm


図8はアンテナbをOpenFDTDとOpenMOMで計算した結果です。
両端で違いが見られますが、中間の周波数ではVSWRが低いことが一致しています。


図8 VSWRのOpenFDTDとOpenMOMの比較(アンテナb, 1~15GHz, Z0=50Ω)