(1) 本ソフトウェアについて
本ソフトウェアOpenRTMはレイトレーシング法を用いた電波伝搬シミュレータです。
周波数と比べて十分広い領域に多数の物体が存在する環境での電界分布を近似的に短時間で計算することができます。
(2) オープンソース
本ソフトウェアOpenRTMはオープンソースのフリーソフトです。
自由に使用、改変、再配布することができます。
ただし、ソフトウェアの内容については保証しません。
(3) 動作環境
動作環境はWindowsです。GUIと実行プログラムが付属しています。
(4) 計算手法
任意形状・任意個数の物体を配置し、電波を直進する光線とみなして伝搬経路を決定します。
任意個数の送信アンテナと受信アンテナを置くことができます。
以下の成分が計算されます。
・直接波:送信点と受信点が見通し内にあるとき
・1回反射波:壁に1回反射する経路
・1回回折波:壁のコーナーを1回回り込む経路
・1回透過波:壁を1回透過する経路
・多重反射波:レイローンチング法を用いて2回以上反射波を計算します
このうち、透過波の透過係数と反射波の反射係数は壁の材質(電気定数)に依存します。
受信電力はフリスの伝達公式により計算します。
(5) GUI
ウィンドウ上の操作でデータ入力、計算、図形表示を行うことができます。
(6) 出力
計算結果は独自形式の図形ファイルとテキスト形式の数値ファイルとして出力されます。
独自形式の図形ファイルは付属のビューワーで図形表示することができます。
(7) 高速化手法
OpenMPにより共有メモリー環境で並列計算することができます。
マルチコアCPUを用いて計算時間を短縮することができます。
(8) 地理情報システム(GIS)の利用
GML(Geography Markup Language)ファイルをOpenRTMデータに変換するツールが付属しています。
国土地理院の"基盤地図情報"と国土交通省の3D都市モデル"PLATEAU"の建物形状と標高データを利用することができます。