レイトレーシング法とは、波長に比べて十分広い領域の電界分布(電波伝搬)を、
電磁波の直進性を利用して高速に近似計算する手法です[1]。
任意個数、任意形状の物体を配置し、送信点と受信点を置き、
送信点から受信点に至る伝搬経路を求め、受信電力を計算します。
OpenRTMでは以下の伝搬経路を考えます(図2-1-1)。
(1) 直接波:送信点から受信点に直接到達する波
(2) 1回回折波:コーナーを1回回り込む波
(3) 1回透過波:壁を1回通過する波
(4) 1回反射波:壁に1回反射する波(イメージング法)
(5) 多重反射波:壁に2回以上反射する波(レイローンチング法)
レイトレーシング法の計算は図2-1-2のように分類されます。
(1)~(4)は送信点と受信点の位置関係から伝搬経路を直接計算することができます。
(5)の多重反射波にはレイローンチング法を用います。
図2-1-1 伝搬経路の分類
図2-1-2 レイトレーシング法の分類