目次

2.3 レイローンチング法による多重反射波

レイローンチング法の計算は2段階からなります。
第1段階で送信点から放射されるレイの軌跡の集合を求めます。
第2段階でその中から受信点の近くを通るレイを探して伝搬経路とします。
2.3.1で第1段階を説明し、2.3.2で第2段階を説明します。

2.3.1 放射レイの計算

図2-3-1のように送信点から等間隔で多数のレイを放射しその軌跡を追跡します。 レイが壁に当たると反射されます。 反射波の方向は入射角と反射角が等しいという反射の法則で決まります。 反射回数が指定した数に達したか、どの壁にも当たらず無限遠に飛んで行ったら追跡を終了します。
図2-3-1において、赤/青/緑はそれぞれ反射回数0回/1回/2回以上のレイです。
図2-3-2に実際の形状におけるレイ放射図を示します。


図2-3-1 レイ放射概念図


図2-3-2 レイ放射3D図

一つの送信点から放射されるレイの数は緯度方向分割数をNθとすると次式で表せます。

 (2-3-1)

2.3.2 伝搬経路の計算

図2-3-3のように任意の点に受信点をとり、 受信点の周囲に受信円(受信球)を設けその中を通過するレイを探します。
レイは送信点から等間隔に放射されるので隣接するレイ間の距離は 「伝搬距離×(π/Nθ)」となります。 伝搬経路を漏らさないために受信円の半径はこの値から少し大きめにとり、 後で重複する伝搬経路を削除します。


図2-3-3 伝搬経路の計算

以上で求めた伝搬経路は近似的なものなので、 以下の後処理によって厳密な伝搬経路を求めます。
(1) 受信点から遡って反射した壁の鏡像点をとり送信点までの厳密な伝搬経路を求める。
(2) 厳密な伝搬経路の各線分は見通し内(LOS)であるかどうか調べる。
(3) 重複した伝搬経路は削除する。