反射または透過を有する伝搬経路の受信電力の計算には、
壁の反射係数または透過係数が必要になります。
それらは壁の物性値、入射角、偏波に依存します。
物性値については以下の三通りを考えます。
(1) 厚さのない板(反射のみ) : 比誘電率、導電率
(2) 厚さのある板(反射と透過): 比誘電率、導電率、厚さ
(3) 反射係数と透過係数の入射角特性の数値ファイル(3.1.12参考)
図2-5-1に反射と透過のモデルを示します。
図中の記号の意味は以下の通りです。
図2-5-1 反射・透過モデル
(1) 厚さのないときの反射係数
式(2-5-1)に厚さのないときの反射波の電界ベクトルを示します。
ここでEi,Erは入射波と反射波の電界ベクトルです。
RV,RHは垂直偏波と水平偏波のときのFresnel反射係数です。[4]
εは壁の複素比誘電率です。
反射係数の入射角特性は3.1のGUIの[物性値]タブで確認することができます。
(2-5-1)
(2-5-2)
(2-5-3)
(2-5-4)
(2-5-5)
(2) 厚さのあるときの反射係数と透過係数
厚さのあるときの反射係数と透過係数については、
多層壁の行列表示[5]の一層の場合で両端が空気のときの式を式(2-5-6)に示します。
ここでEi,Er,Et
は入射波・反射波・透過波の電界ベクトルです。
なお、ここでの「厚さ」は反射・透過係数を計算するための仮想的なものであり、
幾何学的な計算は厚さのない壁として扱われます。
反射・透過係数の入射角特性は3.1のGUIの[物性値]タブで確認することができます。
(2-5-6)
(2-5-7)
(2-5-8)
(2-5-9)