屋内は周囲を壁に囲まれているので、壁による多重反射波が発生するために、
反射波の取り扱いが重要になります。
以下、()内はOpenRTM/data/sampleフォルダにあるデータファイル名です。
図4-1-1に一つの部屋の計算モデルを示します。
一つの部屋は壁・床・天井が同じ物性値のときは1個の4角柱で入力され、
物性値が異なるときは4個の2角柱と2個の4角形で入力されます。
このケースでは回折波と透過波は存在しないのでOFFにしています。
1個の送信点と1個の観測点を入力しています。
[緯度方向分割数]については遠くの壁が存在しないので90~180程度で十分です。
図4-1-2は伝搬経路です。色については、赤:直接波、青:一回反射波、緑:二回以上反射波です。
図4-1-3は遅延プロファイルです。横軸と縦軸を適当に設定してください。
表4-1-1は最大反射回数と伝搬経路数の関係です。
この表を目安に[最大反射回数]に応じて[伝搬経路最大数]を適当に設定してください。
図4-1-1 1部屋の計算モデル
図4-1-2 伝搬経路(最大反射回数=2)
図4-1-3 遅延プロファイル(最大反射回数=4)
最大反射回数 | 伝搬経路数 |
---|---|
0 | 1 |
1 | 7 |
2 | 25 |
3 | 62 |
4 | 123 |
5 | 207 |
図4-1-4に4部屋モデルの受信電力分布を示します。
壁を通る透過波を計算するには、
壁の物性値に[数値入力、厚さあり]または[ファイル]を選択し、
[全般]タブで[透過波]をONにする必要があります。
なお、透過波は一回透過波のみを考えるので、
壁を2枚通る部屋(図の右上の部屋)には透過波は到達しません。
図4-1-4 4部屋モデルの受信電力分布
図4-1-5に什器のある部屋のモデルを示します。
8個の机が並び、机の中心に衝立が置かれています。
図の赤い点が送信点です。
観測面は机の少し上です。
図4-1-6に受信電力分布を示します。
図4-1-7に受信電力統計を示します。位相差あり(赤)のときは分布が広がります。
図4-1-5 什器のある部屋のモデル
図4-1-6 受信電力分布(左:位相差あり、右:位相差なし)
図4-1-7 受信電力統計(左:頻度分布、右:累積確率分布)