OpenRTMにおいて市街地の電波伝搬を計算するには多くの建物の形状を入力する必要がありますが、
これらを手で入力することは実用的ではありません。
また、地面に傾斜があるときはその影響も考慮する必要があります。
そこで公開されている地理情報システム(GIS)を利用することを考えます。
ここでは、国土地理院の"基盤地図情報"(以下GSI)
と国土交通省の3D都市モデル"PLATEAU"(以下PLATEAU)を考えます。
これらから建物形状データと地面の標高データを取得します。
OpenRTMにはこれらのデータをOpenRTMデータに変換するツールGML2ort.exeが付属しています。
表5-1-1に日本の標準地域メッシュを示します。
一次メッシュの識別番号の最初の2桁は緯度方向の通し番号、
次の2桁は経度方向の通し番号です。
一次メッシュを8X8に分割したものが二次メッシュです。
二次メッシュの5桁目が緯度方向の番号(0...7)、6桁目が経度方向の番号(0...7)です。
二次メッシュを10X10に分割したものが三次メッシュです。
三次メッシュの7桁目が緯度方向の番号(0...9)、8桁目が経度方向の番号(0...9)です。
メッシュ | 緯度範囲 | 経度範囲 | 1辺の長さ | 識別番号例 | 地図名 |
---|---|---|---|---|---|
一次メッシュ | 40分(2/3度) | 1度 | 約80km | 5339 | 20万図 |
二次メッシュ | 5分(1/12度) | 7.5分(1/8度) | 約10km | 5339-45 | 2万5千図 |
三次メッシュ | 30秒(1/120度) | 45秒(1/80度) | 約1km | 5339-45-11 | 都市計画基本図 |
図5-1-1 地図メッシュ(一次メッシュ、二次メッシュ、三次メッシュ)
表5-1-2にGSIとPLATEAUの比較を示します。
大きな違いに色をつけています。
GSIは全国をカバーしていますが、PLATEAUは一部の都市のみです。
建物の高さについては、GSIにはありませんが、PLATEAUにはあります。
GSI 国土地理院 基盤地図情報 | PLATEAU 国土交通省 3D都市モデル | |
---|---|---|
提供範囲 | 全国 | 127都市(2022年度)、自治体単位 |
ユーザ登録 | 必要(無料) | 不要 |
建物データ単位 | 二次メッシュ | 三次メッシュ |
建物データ | 断面多角形、緯度・経度 | 3D多角形、緯度・経度・標高 |
地面データ単位 | 二次メッシュ/三次メッシュ | 二次メッシュ |
地面データ | 10m/5mメッシュ標高 | 不均一3D三角形、緯度・経度・標高 |
データ型式 | XML | XML |
以上から、PLATEAU対応エリアであるかどうかで必要なデータは以下のようになります。
PLATEAU対応 | 建物データ | 地面データ | 地図メッシュ |
---|---|---|---|
あり | PLATEAU(高さあり) | GSI 5m | 三次メッシュ |
なし | GSI(高さなし) | GSI 10m | 二次メッシュ |