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5.4 変換プログラムGML2ort

本プログラムGML2ortは、 ダウンロードしたGSIまたはPLATEAUの建物データと地面データをOpenRTMデータに変換するものです。
GML2ortを起動するにはエクスプローラーでGML2ort.exeをダブルクリックしてください。

ファイルの読み込み

[ファイル]>[開く]メニューまたは[開く]ボタンをクリックして、 建物ファイルまたは地面ファイルを開きます。
図5-4-1にPLATEAUの建物ファイル、 図5-4-2にGSIの建物ファイルを開いた状態を示します。
ファイルは一度に複数また複数回に分けて開くことができます。 (ファイルを複数選択する方法はエクスプローラーと同じです)
なお、GSIのファイルとPLATEAUのファイルを混在させることは可能です。
また、[編集]>[建物データ削除]メニュー、 または[編集]>[地面データ削除]メニューをクリックすると、 それぞれ開いた建物データまたは地面データがすべて消去されます。


図5-4-1 PLATEAUの建物データ(三次メッシュ、新宿駅東口)


図5-4-2 GSIの建物データ(二次メッシュ、新宿区周辺)

ウィンドウ操作

マウス操作は以下の通りです。

ステータスバーに以下の情報が表示されます。

切り取り

通常、全体を変換すると膨大なデータになるので一部を切り取ります。
[編集]>[切り取り]メニューまたは[切り取り]ボタンをクリックしたのち、 マウスをドラッグして矩形領域を選択すると一部が選択された状態になります。
再度同じ操作を行うと新しい領域が選択されたことになります。
[編集]>[切り取り解除]メニューをクリックすると一部選択が解除されて全部が選択された状態に戻ります。

3D図形表示

[ツール]>[3D表示]メニューまたは[3D表示]ボタンをクリックすると、 図5-4-3のように(選択された部分が)3D図形表示されます。


図5-4-3 3D図形表示

建物高さの編集(GSIのみ)

GSIの建物データは高さを持たないのでOpenRTMで計算するには高さを指定する必要があります。
建物の高さは[オプション]メニューで設定されるパラメーターから自動的に計算されますが、 建物の高さが実際と著しく異なるときは修正することができます。
図5-4-4のように十分拡大した状態で建物の内部を右クリックすると[編集]ボタンが現れます。 ここで[編集]ボタンをクリックすると図5-4-5のウィンドウが現れます。 ここで建物の地上高(地面からの高さ)を入力してください。
なお、建物の高さは Google Map の3D表示などから調べることができます。 建物の高さは例えば「階数×3m」と評価することができます。
また、建物の高さはOpenRTMで修正することもできます。


図5-4-4 建物高さを編集するための建物の選択


図5-4-5 建物高さの編集

保存

最後に、[ファイル]>[OpenRTMデータを保存]メニューまたは[保存]ボタンをクリックすると OpenRTM用のデータに変換して保存することができます。
なお、建物形状についてはGSIデータは多角柱、PLATEAUデータは多角形として保存されます。
また、地面データはどちらも多角形として保存されます。

オプションメニュー

[ツール]>[オプション]メニューをクリックすると図5-4-6のオプションウィンドウが開きます。 ここで各種の設定を変更することができます。

■建物データ
[高さ]
GSIの建物データは高さの情報を持たないので本プログラムでは以下の式で建物の高さを計算します。

建物の高さ = 基本高さ + 比例定数 × 建物の面積 [m]     (5-4-1)

例えば基本高さ=5m、比例定数=0.05[1/m]のとき、 建物の面積=100m2の建物の高さは 5+0.05×100=10m となります。

■地面標高データ
[メッシュ](GSIのみ)
GSIの地面標高データを2次メッシュと3次メッシュから選択してください。 前者では10km四方の1個のファイル、後者では1km四方の100個以下のファイルになります。 PLATEAUがサポートされない所では前者、PLATEAUがサポートされる所では後者を選択してください。
なお、PLATEAUの地面標高データは2次メッシュのみです。
[間引き間隔]
地面標高データ数が多すぎるときに減らすためにあります。 図5-4-7に間引き間隔=1と間引き間隔=5の3D図形表示例を示します。

■OpenRTM
[OpenRTM]の[観測面を出力する]をONにすると地面の上に指定した高さと分割数の観測面が出力されます。 例えばDEM10m、間引き間隔=3、観測面の分割数=10のときは、 広さ30m四方で分割数が10x10の観測面(すなわち受信点の間隔が3m)が出力されます。

その他については[ヘルプ]を参考にしてください。
すべての設定を初期化するには[初期化]をクリックしてください。


図5-4-6 オプションウィンドウ


図5-4-7 地面3D表示(DEM10m、左:間引き間隔=1、右:間引き間隔=5)

PLATEAUの地面データ

PLATEAUの地面データは図5-4-8左のように、 傾斜のある所は密に、傾斜のない所は疎である不均一三角形メッシュになっています。 左の図は、[ツール]>[PLATEAU地面3D]メニューで表示することができます。
OpenRTMの観測面は均一メッシュが望ましいので、 右のようにGSIと同じ10mまたは5m間隔の均一メッシュの標高データに加工した後、 (間引き間隔も考慮して)OpenRTMデータに変換して保存しています。
このため、地面データについては最初から均一メッシュであるGSIをお勧めします。
なお、自治体によっては地面の元データが均一三角形メッシュである所もあります。


図5-4-8 PLATEAUの地面データの加工(左:元データ、右:加工後)

海面の扱い

GSIでは海面の標高は-9999mと表現されています。
PLATEAUでは陸地と海面の区別はなく、海面の標高は約0mです。
本プログラムで海を含む領域の地面データを開くと図5-4-9のようになります。
左のGSIでは陸地だけを取り出しています。
右のPLATEAUでは陸地と海面の区別ができません。 ただし、三次メッシュ全体が海面である領域のデータはありません。
以上から、海を含む地面データもGSIの方が扱いやすいと言えます。

 
図5-4-9 海を含む地面データ(左:GSI、右:PLATEAU)

座標の変換式

本プログラムは緯度、経度、標高をXYZ座標に変換します。 基準点の緯度をψ0、経度をφ0とし、これを原点x=y=0とします。 このとき緯度ψ、経度φ、標高hの点のxyz座標は以下のようになります。

 (5-4-2)

ここでREは地球の半径です。 式(5-4-2)の第3式の右辺第2項は地球が球であることを表します。

 (5-4-3)

建物データの変換のまとめ

建物データは図5-4-10のように変換されます。
GSI(基盤地図情報)では、元データは高さのないポリゴンであり、 これに断面積から高さを与えます。 その後、OpenRTMで三角形に分割されます。
PLATEAUでは、元データは高さのあるポリゴンであり、 これがOpenRTMで三角形に分割されます。


図5-4-10 建物データの変換

地面データの変換のまとめ

地面データは図5-4-11のように変換されます。
GSI(基盤地図情報)では、元データは5mまたは10mの均一メッシュであり、 これがOpenRTMで三角形に分割されます。
PLATEAUでは、元データは不均一メッシュであり、 これがGML2ortで均一メッシュに変換され、 その後OpenRTMで三角形に分割されます。


図5-4-11 地面データの変換