目次

4.2 図形出力

OpenTHFDでは図形出力に汎用グラフィックスライブラリーev[23]を使用しています。
その中で3D図形表示のライブラリーとしてOpenTK[28]を使用しています。
ポスト処理が終了すると計算結果の図形がファイルev.ev2(2D)またはev.ev3(3D)に出力されます。(注1)
ポスト処理制御において(2D)または(3D)と書かれているものに対してはそれぞれ2Dと3Dの図形データが出力されます。
ev.ev2とev.ev3は独自形式のファイルであり、 それぞれビューワーev2d.exe(2D),ev3d_otk.exe(3D)を用いて図形表示されます。
ビューワーの使い方についてはツールボタンにマウスを置くと説明が表示されます。
また、下のステータスバーに各種の情報が表示されます。
以下に図形出力例を示します。

4.2.1 収束状況

反復計算の残差(赤)と平均電界誤差(青)が出力されます。
残差と平均電界誤差が十分小さくなることが収束のための条件です。
精度よく計算するには残差が1e-3~1e-5以下になることが望ましいです。
新しいモデルを計算するときや計算モデルを大きく変えたときは収束状況を確認して計算が正しく行われていることを確認してください。
収束を速くするにはメッシュを均一にすることが効果があります。


図4-2-1 収束状況(2D)

4.2.2 周波数特性

選択した項目の周波数特性が出力されます。
給電点("feed"行)を入力したときは「スミスチャート、入力インピーダンス、入力アドミッタンス、反射損失」が出力されます。
さらに観測点("point"行)を入力したときは「Sパラメーター」が出力されます。
給電点と平面波入射のどちらでも「全損失、遠方界」が出力されます。
遠方界は観測方向を指定する必要があります。


図4-2-2 スミスチャート(2D)

図4-2-3 入力インピーダンスの周波数特性(Rin:実部、Xin:虚部)(2D)

図4-2-4 入力アドミッタンスの周波数特性(Gin:実部、Bin:虚部)(2D)

図4-2-5 反射損失の周波数特性(2D)

図4-2-6 Sパラメーターの周波数特性(2D)

図4-2-7 全損失の周波数特性(2D)

図4-2-8 遠方界の周波数特性(2D)

4.2.3 遠方界面上パターン図

遠方界の面上パターン図が出力されます。
出力されるページ数は「周波数の数 X 遠方界面の数 X 選択した成分の数」です。
上が円プロットを選択したとき(既定値)、下がXYプロットを選択したときの図です。


図4-2-9 遠方界面上パターン図(円プロット)(2D)

図4-2-10 遠方界面上パターン図(XYプロット)(2D)

4.2.4 遠方界全方向パターン図

遠方界の全方向のパターン図が3D表示されます。
出力されるページ数は「周波数の数 X 選択した成分の数」です。
給電点があるときは、指向性利得、放射効率、最大放射方向が表示されます。 損失があるときは放射効率が下がります。損失がないときの放射効率の100%との差が計算誤差の指標になります。
平面波入射のときは、全散乱断面積、光学定理誤差、最大散乱方向が表示されます。 光学定理誤差が計算誤差の指標になります。


図4-2-11 遠方界全方向パターン図(3D)

4.2.5 近傍界線上分布図

近傍界の線上分布図が出力されます。
X/Y/Z成分とその合成値が表示されます。
出力されるページ数は「周波数の数 X 近傍界観測線の数」です。


図4-2-12 近傍界線上分布図(2D)

4.2.6 近傍界面上分布図

近傍界の面上分布図が2Dと3Dで出力されます。
赤は値の大きいこと、青は値の小さいことを表します。
物体の形状が黒の線で表示されます。
出力されるページ数は「周波数の数 X 近傍界観測面の数」です。


図4-2-13 近傍界面上分布図(2D)

図4-2-14 近傍界面上分布図(3D)

■ 動画
[近傍界面上]の[2D]と[動画2D]をONにすると、 図4-2-13と同様の図の指定された[フレーム数]の動画が出力されます。
▶をクリックすると調和電磁界の時間波形がエンドレスに表示されます。 +/-をクリックすると加速/減速されます。 再度▶をクリックすると動画が停止します。
なお、動画を表示するときは他の2D図形出力をOFFにしてください。
また、動画で表示されるものは最初に指定された近傍界面と最初の周波数の組み合わせのみです。