表4-8-1に本方法がFDTD法より優れている点をまとめます。
比較項目 | 本方法 | FDTD法 |
---|---|---|
基礎方程式の次元 | 3次元空間 | 3次元空間+時間の4次元 |
負の誘電率の扱い | 負の誘電率をそのまま代入することができる | 分散性媒質として解析する必要がある |
インダクタLの扱い | 負の誘電率を入力するだけでよい | その点の電界の履歴を保存する必要がある |
斜め入射の周期境界条件 | 実装が容易 | 実装が難しい |
散乱問題の計算 | 反復計算の前に右辺ベクトルを変えるだけでよい | 差分スキームに付加項が加わり毎時刻計算が必要である |
PML | 余分な配列が不要で通常スキームと同じ扱いができる | PML層内で電磁界を2成分に分け余分な配列が必要である |
低周波の計算時間 | 周波数が低くなると計算時間は同じか短くなる | 安定性条件のために周波数に反比例して計算時間が増大する |
表4-8-2にFDTD法が本方法より優れている点をまとめます。
比較項目 | 本方法 | FDTD法 |
---|---|---|
周波数特性の計算 | 周波数を変えて繰り返し計算する必要がある | 一度の計算で求めることができる |
必要メモリー | 342*Nx*Ny*Nz バイト(倍精度が必要) | 30*Nx*Ny*Nz バイト(単精度でよい) |
計算時間 | 同じNx,Ny,Nz,反復回数ならFDTD法の数十倍の計算時間が必要 | 同じNx,Ny,Nz,反復回数なら本方法の数十分の1の計算時間ですむ |
収束性 | 入力データによっては発散することがある | 常に収束する強靭なアルゴリズムである |
時間波形 | 計算することが困難 | 直接計算されている |
本方法の周波数領域とFDTD法の時間領域は互いに双対関係にあるので、
一方が苦手な問題は他方で補うことができます。
問題に応じて適当な方を選んでください。
表4-8-3に本方法とDTD法の共通点をまとめます。
項目 | 特徴 |
---|---|
計算精度 | Maxwell方程式を同じYee格子と差分法で解くために計算結果は基本的に一致する |
高速化 | OpenMP,MPI,CUDAで容易に高速化することができる |
吸収境界条件 | 精度のよいPMLを使用することができる |
入力データ | ほぼ共通化することができる |
出力結果 | ほぼ同様のものが出力される |