本章では前章で説明したFDTDプログラムに[3]の高速化技術を適用します。
下記のベンチマーク問題を計算し、その計算時間から高速化を評価します。
計算モデルは図4-1-1の通りです。
誘電体のブロックの上に完全導体(PEC)の板があり、
その中心にモノポールアンテナが立っているものです。
図4-1-1 ベンチマーク問題(単位:mm)
計算条件として表4-1-1の各ケースを考えます。
以下ベンチマーク100~500と呼びます。
ベンチマーク | セル数(Nx,Ny,Nz) | セルサイズ(Δx,Δy,Δz) | 周波数 | タイムステップ数 | 吸収境界条件 | 使用メモリー |
---|---|---|---|---|---|---|
100 | 100 X 100 X 100 | 2X2X2[mm] | 10GHz | 2000 | Mur 1次 | 30MB |
200 | 200 X 200 X 200 | 1X1X1[mm] | 20GHz | 2000 | Mur 1次 | 240MB |
300 | 300 X 300 X 300 | 0.666X0.666X0.666[mm] | 30GHz | 2000 | Mur 1次 | 810MB |
400 | 400 X 400 X 400 | 0.5X0.5X0.5[mm] | 40GHz | 2000 | Mur 1次 | 1920MB |
500 | 500 X 500 X 500 | 0.4X0.4X0.4[mm] | 50GHz | 2000 | Mur 1次 | 3750MB |
以下の環境で計算時間を測定します。
全体の計算時間(ofd.logのtotal行)を表示します。
電磁界を更新する式には式(2-3-5)(2-3-6)のようにその場所の物性値で決まる4個の係数
(c1,c2,d1,d2)があります。
これらを扱うには以下の二通りの方法があります。
(1) novectorモード
その場所の物性値番号(1バイト)から間接的に係数を計算します。
使用メモリーが少なくてすみます。
(2) vectorモード
係数の配列(単精度のとき各4バイト)を予め用意し直接アクセスします。
使用メモリーが増えます。