目次

7.6 マイクロストリップ線路の特性インピーダンス

マイクロストリップ線路の特性インピーダンスについて考えます。
図1にマイクロストリップ線路の断面図を示します。
線路の厚みと損失を考えないとき、 線路の実効比誘電率εr,effと特性インピーダンスZ0[Ω]は式(1)になります。[11]
(文献[11]の表3.1には2箇所誤りがあるので注意)


図1 マイクロストリップ線路断面図

(1)

下記はマイクロストリップ線路の特性インピーダンスと実効比誘電率を計算するツールです。 3個のデータを入力して[計算]ボタンをクリックしてください。
・基板の比誘電率εr:
・線路の幅W[mm]:
・基板の厚さH[mm]:

・特性インピーダンスZ0[Ω] = 0
・実効比誘電率εr,eff = 0

式(1)を基板の比誘電率εrをパラメーターにしてグラフにすると図2になります。
図3に特性インピーダンスが50Ωになる線幅W/Hをプロットします。


図2 マイクロストリップ線路の特性インピーダンス


図3 特性インピーダンスが50Ωになる線幅

なお、基板に損失があるときの誘電損失は次式の通りです。(λの単位はm、fの単位はGHz)
従って、tanδが周波数によらないならば誘電損失は周波数に比例します。

(2)


線路の特性インピーダンスは線路断面の電圧と電流からZ0=V/Iで定義されますが、 FDTD法では直接計算することが難しいので図4のようなモデルを考えます。
線路を途中で切断してグラウンド板と接続し、その上に給電点を置きます。 このときの入力インピーダンス(Zin=Vin/Iin) を線路の特性インピーダンスと考えます。これをBlochインピーダンスと呼びます。
図5にセルサイズを変えたときの特性インピーダンスと式(1)の結果を示します。 セルサイズ→0のとき式(1)に収束することがわかります。 これから特性インピーダンスを1Ω以内の誤差で計算するには基板をおよそ10分割以上する必要がありますが、 それはかなり多くの計算時間とメモリーを必要とします。


図4 マイクロストリップ線路の計算モデル


図5 数値解と解析解の比較 (εr=4, W=2mm, H=1mm)

◆入力データ(右クリック+[保存]): MSL.ofd