メタマテリアルから成るマイクロストリップアンテナを考えます。([9] Chapter19)
(1) 単線メタラインアンテナ
図1にアンテナ形状を示します。
線路の-X端を給電し、+X端を抵抗(80Ω)で終端します。
線路は周期構造をなし、周期(p=10mm)の中の二つのギャップをCでつなぎ、
中央の一つのビアをグラウンド板に接続してその途中にLを直列に接続します。
左手系と右手系の境界になる周波数を推移(transition)周波数fTと呼びます。
ここではfT=3GHzとなるようにパラメーターを設定しています。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=2.0mm,H=1.6mmを代入するとZ0=79Ωとなります。
図2に収束状況を示します。メタマテリアルは一般に収束が遅く、
内部抵抗を使用してもタイムステップ数は100000のオーダーになります。
図3に反射係数を示します。推移周波数付近は遮断周波数となっています。
図4に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure19.6と似ています。
推移周波数以下では後退波により後方に放射し、推移周波数以上では前進波により前方に放射します。
図5,図6に左手系と右手系の周波数におけるEz成分の位相分布を示します。
左はY=0mm,Z=10mmの線上、右はZ=10mmの面上の分布図です。
左の位相(赤線)から左手系では傾きが正、右手系では傾きが負であることがわかります。
右の図からも同じことがわかります。
ここではC,Lは集中定数を使用しましたが、それらを線路(分布定数)で表現する方法もあります[10]。
Cは櫛型線路、Lはスタブ+ビアで表現します。
その場合製作上集中定数は不要になりますが、CとLの評価と小さいセルサイズが必要になり、
計算試行回数、計算時間、使用メモリーは大幅に増えます。
図1 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)
図2 収束状況
図3 反射係数 (2-5GHz. Z0=80Ω)
図4 放射パターン (XZ面)
![]() (a) 線上の振幅と位相 |
![]() (b) 面上の位相 |
図5 左手系での電界分布 (Ez成分, 2.4GHz, Z=10mm) |
![]() (a) 線上の振幅と位相 |
![]() (b) 面上の位相 |
図6 右手系での電界分布 (Ez成分, 3.9GHz, Z=10mm) |
◆入力データ(右クリック+[保存])
Metaline_M20.ofd
◆データ作成ライブラリ用ソースコード(右クリック+[保存])
Metaline.c
(2) 2線メタラインアンテナ
図7にアンテナ形状を示します。
メタラインを2本平行に並べ、給電点と終端抵抗(50Ω)を交互に配置します。
給電点の位相は互いに逆相とします。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=8.8mm,H=3.2mmを代入するとZ0=50Ωとなります。
図8に反射係数を示します。
文献[9]のFigure19.10では2-4GHzにわたってVSWR<2となっていますが結果が一致していません。
図9に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。
ビームの中心は正面方向(+Z方向)になります。
文献[9]のFigure19.8と似ています。
図10に正面方向の利得の周波数特性を示します。
文献[9]のFigure19.9と似ています。
図7 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)
図8 反射係数 (2-4GHz, Z0=50Ω)
![]() (a) 2.4GHz |
![]() (b) 2.6GHz |
![]() (c) 2.8GHz |
![]() (d) 3.0GHz |
![]() (e) 3.2GHz |
![]() (f) 3.4GHz |
図9 放射パターン (XZ面) |
図10 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度)
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