目次

8.12 メタループアンテナ

メタマテリアルから成るループアンテナを考えます。([9] Chapter20)

(1) 平衡給電メタループアンテナ

図1にアンテナ形状を示します。
線路は周期構造をなし、周期(p=10mm)の中の二つのギャップをCでつなぎ、 中央の一つのビアを下に伸ばし島状電極とグラウンド板をLで接続します。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=4.0mm,H=3.2mmを代入するとZ0=79Ωとなります。
図2に平衡給電と不平衡給電のモデルを示します。ここでは平衡給電としています。
図3に反射係数を示します。 形状の対称性を保つために2セルで給電しているために反射係数の計算に使用する特性インピーダンスはZ0/2になります。
以下のように5個の周波数で共振します。
推移周波数fT以下の左手系でループ長が1λg,2λgになる周波数をfN1,fN2、 推移周波数fT以上の右手系でループ長が1λg,2λgになる周波数をfH1,fH2 と表すと、
fN2 < fN1 < fT < fH1 < fH2
という関係があります。ここでλgは線路上を伝搬する波長です。
図4に各周波数でのZ=10mm面の電界と磁界を示します。 fN1,fH1では2個の山と谷ができ、 fN2,fH2では4個の山と谷ができます。
図5に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure20.3と似ています。 fN1とfH1ではビームの中心が+Z方向のX偏波になり、 fN2とfH2ではコニカルビームのY偏波になります。
図6に+Z方向の利得の周波数特性を示します。 fN1とfH1にピークがあります。 図5(b),(d)からわかるように、左手系ではビーム幅が広く、利得が低くなります。


図1 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)

図2 平衡給電と不平衡給電

図3 反射係数 (2-4GHz. Z0=40Ω)

(a) 2.25GHz (fN2) 電界

(b) 2.25GHz (fN2) 磁界

(c) 2.55GHz (fN1) 電界

(d) 2.55GHz (fN1) 磁界

(e) 3.10GHz (fT) 電界

(f) 3.10GHz (fT) 磁界

(g) 3.40GHz (fH1) 電界

(h) 3.40GHz (fH1) 磁界

(i) 3.80GHz (fH2) 電界

(j) 3.80GHz (fH2) 磁界
図4 電磁界分布 (Z=10mm面)

(a) 2.25GHz (fN2)

(b) 2.55GHz (fN1)

(c) 3.10GHz (fT)

(d) 3.40GHz (fH1)

(e) 3.80GHz (fH2)
図5 放射パターン (XZ面)

図6 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度)

(2) 不平衡給電メタループアンテナ

図7にアンテナ形状を示します。不平衡給電としています。その他の条件は図1と同じです。
図8に反射係数を示します。図3と同じく5個の周波数で共振しています。
図9に各周波数でのZ=10mm面の電界と磁界を示します。 山と谷の数は図4と同じですが、山と谷の位置が図4と反対になります。
図10に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure20.7と似ています。 放射パターンの形状は図5と同じですが偏波方向が反対になります。
図11に+Z方向の利得の周波数特性を示します。図6と同じ傾向があります。


図7 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)

図8 反射係数 (2-4GHz. Z0=80Ω)

(a) 2.30GHz (fN2) 電界

(b) 2.30GHz (fN2) 磁界

(c) 2.55GHz (fN1) 電界

(d) 2.55GHz (fN1) 磁界

(e) 2.85GHz (fT) 電界

(f) 2.85GHz (fT) 磁界

(g) 3.40GHz (fH1) 電界

(h) 3.40GHz (fH1) 磁界

(i) 3.90GHz (fH2) 電界

(j) 3.90GHz (fH2) 磁界
図9 電磁界分布 (Z=10mm面)

(a) 2.30GHz (fN2)

(b) 2.55GHz (fN1)

(c) 2.85GHz (fT)

(d) 3.40GHz (fH1)

(e) 3.90GHz (fH2)
図10 放射パターン (XZ面)

図11 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度)

◆入力データ(右クリック+[保存])
Metaloop_M6_d1mm_Balmex.ofd, Metaloop_M6_d1mm_UnBalmex.ofd

◆データ作成ライブラリ用ソースコード(右クリック+[保存])
Metaloop.c