メタマテリアルから成るループアンテナを考えます。([9] Chapter20)
(1) 平衡給電メタループアンテナ
図1にアンテナ形状を示します。
線路は周期構造をなし、周期(p=10mm)の中の二つのギャップをCでつなぎ、
中央の一つのビアを下に伸ばし島状電極とグラウンド板をLで接続します。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=4.0mm,H=3.2mmを代入するとZ0=79Ωとなります。
図2に平衡給電と不平衡給電のモデルを示します。ここでは平衡給電としています。
図3に反射係数を示します。
形状の対称性を保つために2セルで給電しているために反射係数の計算に使用する特性インピーダンスはZ0/2になります。
以下のように5個の周波数で共振します。
推移周波数fT以下の左手系でループ長が1λg,2λgになる周波数をfN1,fN2、
推移周波数fT以上の右手系でループ長が1λg,2λgになる周波数をfH1,fH2
と表すと、
fN2 < fN1 < fT < fH1 < fH2
という関係があります。ここでλgは線路上を伝搬する波長です。
図4に各周波数でのZ=10mm面の電界と磁界を示します。
fN1,fH1では2個の山と谷ができ、
fN2,fH2では4個の山と谷ができます。
図5に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure20.3と似ています。
fN1とfH1ではビームの中心が+Z方向のX偏波になり、
fN2とfH2ではコニカルビームのY偏波になります。
図6に+Z方向の利得の周波数特性を示します。
fN1とfH1にピークがあります。
図5(b),(d)からわかるように、左手系ではビーム幅が広く、利得が低くなります。
図1 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照) | |
![]() 図2 平衡給電と不平衡給電 | |
![]() 図3 反射係数 (2-4GHz. Z0=40Ω) | |
![]() (a) 2.25GHz (fN2) 電界 |
![]() (b) 2.25GHz (fN2) 磁界 |
![]() (c) 2.55GHz (fN1) 電界 |
![]() (d) 2.55GHz (fN1) 磁界 |
![]() (e) 3.10GHz (fT) 電界 |
![]() (f) 3.10GHz (fT) 磁界 |
![]() (g) 3.40GHz (fH1) 電界 |
![]() (h) 3.40GHz (fH1) 磁界 |
![]() (i) 3.80GHz (fH2) 電界 |
![]() (j) 3.80GHz (fH2) 磁界 |
図4 電磁界分布 (Z=10mm面) | |
![]() (a) 2.25GHz (fN2) |
![]() (b) 2.55GHz (fN1) |
![]() (c) 3.10GHz (fT) | |
![]() (d) 3.40GHz (fH1) |
![]() (e) 3.80GHz (fH2) |
図5 放射パターン (XZ面) | |
![]() 図6 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度) |
(2) 不平衡給電メタループアンテナ
図7にアンテナ形状を示します。不平衡給電としています。その他の条件は図1と同じです。
図8に反射係数を示します。図3と同じく5個の周波数で共振しています。
図9に各周波数でのZ=10mm面の電界と磁界を示します。
山と谷の数は図4と同じですが、山と谷の位置が図4と反対になります。
図10に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure20.7と似ています。
放射パターンの形状は図5と同じですが偏波方向が反対になります。
図11に+Z方向の利得の周波数特性を示します。図6と同じ傾向があります。
図7 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照) | |
![]() 図8 反射係数 (2-4GHz. Z0=80Ω) | |
![]() (a) 2.30GHz (fN2) 電界 |
![]() (b) 2.30GHz (fN2) 磁界 |
![]() (c) 2.55GHz (fN1) 電界 |
![]() (d) 2.55GHz (fN1) 磁界 |
![]() (e) 2.85GHz (fT) 電界 |
![]() (f) 2.85GHz (fT) 磁界 |
![]() (g) 3.40GHz (fH1) 電界 |
![]() (h) 3.40GHz (fH1) 磁界 |
![]() (i) 3.90GHz (fH2) 電界 |
![]() (j) 3.90GHz (fH2) 磁界 |
図9 電磁界分布 (Z=10mm面) | |
![]() (a) 2.30GHz (fN2) |
![]() (b) 2.55GHz (fN1) |
![]() (c) 2.85GHz (fT) | |
![]() (d) 3.40GHz (fH1) |
![]() (e) 3.90GHz (fH2) |
図10 放射パターン (XZ面) | |
![]() 図11 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度) |
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Metaloop_M6_d1mm_Balmex.ofd,
Metaloop_M6_d1mm_UnBalmex.ofd
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