メタマテリアルから成るループアンテナを円偏波を放射するように変更します。([9] Chapter21)
図1にアンテナ形状を示します。
8.11のメタループアンテナと構造はほぼ同じですが、
違いはループの一か所を切断し、一方の端を同軸給電し、他方の端を抵抗(50Ω)で終端します。
その他の違いは繰り返し数Mが6から5に、集中定数C,Lの値、線路幅wが4mmから8mmになっています。
文献[9]ではw=8.8mmですが、セルサイズを1mmにするためにw=8mmとしています。
また四隅で線路が干渉しないように変形しています。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=8.0mm,H=3.2mmを代入するとZ0=54Ωとなります。
図2に左右円偏波成分の利得の周波数特性を示します。
文献[9]のFigure21.3と似ています。
推移周波数fT=3GHz以下では左手系のため左旋円偏波、
それ以上では右手系のため右旋円偏波を放射します。
図3に左手系周波数fLH=2.50GHzと右手系周波数fRH=3.45GHzにおける放射パターンを示します。
文献[9]のFigure21.4と似ています。
図4に正面方向(θ=0度)の軸比の周波数特性を示します。
文献[9]のFigure21.5と比べるとfRH帯でやや高くなっています。
図5に反射係数の周波数特性を示します。
文献[9]のFigure21.6では2-4GHzにわたってVSWR<2となっていますが、
図5ではVSWRが2を超える周波数が見られます。
ただしfLHとfRHでは整合がとれています。
入力インピーダンスは給電点周辺の構造で変わります。
図6に放射効率の周波数特性を示します。
100%からの低下は終端抵抗における吸収によるものです。
文献[9]のFigure21.7と似ています。
なお、放射効率は全方向遠方界を図形出力したとき、"efficiency="の行に表示されます。(図5-5-14参照)
図7にfLHとfRHにおける電界の振幅と位相を示します。
位相についてはfLHでは線路に沿って左回りで進み、
fRHでは線路に沿って右回りで進みます。
これによって円偏波の回転方向が決まります。
図1 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)
図2 左右円偏波成分の利得の周波数特性 (2-4GHz)
![]() (a) 2.50GHz XZ面 |
![]() (b) 2.50GHz YZ面 |
![]() (c) 3.45GHz XZ面 |
![]() (d) 3.45GHz YZ面 |
図3 放射パターン |
図4 軸比の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度)
図5 反射係数の周波数特性 (2-4GHz)
図6 放射効率の周波数特性 (2-4GHz)
![]() (a) 2.50GHz E振幅 |
![]() (b) 2.50GHz Ez位相 |
![]() (c) 3.45GHz E振幅 |
![]() (d) 3.45GHz Ez位相 |
図7 電界分布 (Z=15mm面) |
図2によるとfLHとfRHにおける利得差が7dBあります。
アンテナの上方の適当な位置に適当な厚さの誘電体スラブを置くことによってこの差を小さくすることができます。[9]
図8に計算結果を示します。利得差が1dB以下になっています。
文献[9]のFigure21.9と似ています。
図8 左右円偏波成分の利得の周波数特性 (スラブ板付き, εr=2.6, d=58.8mm, Bs=21.5mm, 2-4GHz)
◆入力データ(右クリック+[保存])
Metaloop_open_M5_d1mm.ofd,
Metaloop_open_M5_d1mm_slab.ofd
◆データ作成ライブラリ用ソースコード(右クリック+[保存])
Metaloop_open.c