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8.14 メタスパイラルアンテナ

メタマテリアルから成るスパイラルアンテナを考えます。([9] Chapter22)
本アンテナは低い周波数で左旋円偏波、高い周波数で右旋円偏波を放射します。
図1にアンテナ形状を示します。 中央の2か所を逆相で同軸給電し、先端の2か所を抵抗(80Ω)で終端します。
図2に巻き数M=6,8,10,12のときの左右円偏波成分の利得の周波数特性を示します。 文献[9]のFigure22.4と同じく、推移周波数fT=3GHz以下では左手系のため左旋円偏波、 それ以上では右手系のため右旋円偏波を放射します。 また巻き数Mが増えると左手系周波数fLHと右手系周波数fRHともに推移周波数fTに近づきます。[9]
なお、左手系/右手系と左旋/右旋の違いに注意してください。 アンテナを左回り(反時計回りに)に巻いたときは左手系が左旋、右手系が右旋になり、 アンテナを右回り(時計回りに)に巻いたときは左手系が右旋、右手系が左旋になります。
図3に左手系周波数fLHと右手系周波数fRHにおける放射パターンを示します。 文献[9]のFigure22.5と傾向は似ています。
図4にM=6のときの反射係数の周波数特性を示します。 文献[9]のFigure22.7の実線と比べると高い周波数でのVSWRが大きくなっています。 なお、推移周波数付近は遮断域となっています。
図5にfLHとfRHにおける電界分布を示します。 周囲の長さが1λgの部分をcurrent band(電流帯)と呼び、 その場所で強く放射されることがわかります。[9]


図1 アンテナ形状 (M=6, 図の使い方は5.4参照)


(a) M=6

(b) M=8

(c) M=10

(d) M=12
図2 左右円偏波成分の周波数特性 (θ=0度)

(a) M=6, 2.55GHz(fLH)

(b) M=6, 3.80GHz(fRH)

(c) M=8, 2.60GHz(fLH)

(d) M=8, 3.60GHz(fRH)

(e) M=10, 2.70GHz(fLH)

(f) M=10, 3.60GHz(fRH)

(g) M=12, 2.70GHz(fLH)

(h) M=12, 3.60GHz(fRH)
図3 放射パターン (XZ面)

図4 反射係数 (M=6, 2-4GHz, Z0=80Ω)

(a) 2.70GHz

(b) 3.60GHz
図5 電界分布 (M=12, Z=15mm面)

◆入力データ(右クリック+[保存])
Metaspiral_M6_d1mm.ofd, Metaspiral_M8_d1mm.ofd, Metaspiral_M10_d1mm.ofd, Metaspiral_M12_d1mm.ofd

◆データ作成ライブラリ用ソースコード(右クリック+[保存])
Metaspiral.c