(1) アルゴリズムの検討
本シミュレーターで用いたモーメント法+ニュートン法では、
実用的な計算時間では解像度5mmが限度です。
さらに解像度を上げるにはアルゴリズムの見直しが必要です。
[1]で実装されている[12][13]の方法(繰り返しひずみボルン近似)や、
[14][15](FBTS法、Forward-Backward Time-Stepping法)などがあります。
逆散乱問題以外の方法については[1][2]に解説があります。
(2) アンテナのモデル化
本シミュレーターでは送受信アンテナを点波源としましたが、
実際のアンテナは複雑な形と電気的特性を持っています。
アンテナの正確なモデルを計算に組み込むことが必要です。
なお、実際のアンテナは指向性を持っておりビームの中心が対象物を向いているので、
これは逆問題の条件を改善することが期待できます。
(3) 多周波数化
現在のプログラムは形式上は複数の周波数に対応していますが、
電気定数の分散に対応していないために、
多周波数化は今後の課題です。
(行列の行数を周波数倍することが必要です)
(4) ノイズの評価
本シミュレーターでは順問題の解はノイズを持たない(ただし計算誤差は持っている)と仮定していますが、
実際の測定値はノイズを持っています。
S/N比と計算誤差の関係の検討が必要です。